第580章 総統様がこんなに情熱的だなんて思わなかった

俞閔閔は本当に起きたくなかったが、顧靖溟が出かけたような気配を感じ、ゆっくりと体を起こした。

そのとき、突然ドアが開く音がした。

顧靖溟はドアの前に立ち、彼が起きた後すぐに起き上がった俞閔閔を見つめていた。

彼は一歩一歩近づいてきて、「さっきは寝たふりをしていたのか？」

「あ...いいえ...私...ドアの音で目が覚めただけです」俞閔閔は慌てて答えた。

顧靖溟はゆっくりと彼女の前まで歩み寄った。

ゆっくりと彼女の顎を上げ、逃げるような視線を見つめて、「どうした、私が怖いのか？」

はい、怖いです。とても怖いです。

一見穏やかに見えるが実は陰鬱で冷たい彼の目を見ると、昨夜彼がどれほど激しく彼女を扱ったかを思い出し、思わず体が強張った。

顧靖溟は冷笑し、「こんなに私を怖がっているのに、何度も言うことを聞かない。お前は本当に...」

「私は言うことを聞いていないなんてことはありません...怖がってもいません、本当に...」

嘘つき！

顧靖溟は力を込めて、彼女の体に残る斑模様の痕跡を一瞥し、昨夜彼女が両脚で彼の腰にしがみつき、湿った体で彼を包み込んでいた感覚を思い出した。

瞳が深くなり、疲れていたはずの体が再び奮い立った。

俞閔閔は急に様子がおかしいことに気づき、やめてと叫ぼうとしたが、彼の大きな体が瞬時に覆いかぶさってきた。

彼女は、本当に死んでしまうと思った...

顧靖溟はすでに昨夜の件の処理を急いでいた。

親衛兵が突然、俞閔閔と連絡が取れないと言い、彼は人を送って確認させた。

確認の際、異常が発見された。

本来なら、彼自身が姿を見せるべきではなかった。

リンダは彼を見て、「大統領閣下、クラブの件は処理済みです。昨夜閣下を見かけた従業員たちは全て他の場所に異動させ、この件について口外することはありません」

「ああ」

「容疑者は大統領夫人と出会ったことについて知らなかったと言っています。誰だか分からず、誰かが彼に与えた女性だと思い込んで、そのように無礼な振る舞いをしたとのことです。すでにC国から追放されました」

「ああ」顧靖溟は顔を上げ、「では薬は...」