第652章 大統領閣下、奥様に何かあったようです

エイミーは言いながら、彼に微笑んだ。「そういえば、私が来ると聞いて、素雅が贈り物を預かってきたんだけど、見た?」

「ああ、もう見たよ。ありがとう」顧靖溟はいつも通り几帳面な笑顔を浮かべ、何の変化も見せなかった。

エイミーはしばらく観察したが、彼が自分に好印象を持っているかどうか見抜けず、心の中でため息をついた。さすが大統領になれる人だ、心の内を深く隠し、人を推測させない。

そのときリンダが近づいてきて、エイミーに礼儀正しく微笑み、顧靖溟に静かに言った。「夫人はもう休まれるそうです」

「ああ」

彼はエイミーに頷いて、部屋を出て行った。

夫人?大統領夫人?

エイミーは心の中で疑問に思った。この時間に顧靖溟を呼びに来たのは、この俞閔閔が彼女がここにいることを知って、わざと顧靖溟が他の女性に近づくのを阻止しようとしているのではないか。

その夜、顧靖溟はついに俞閔閔を悩ませることはなかった。

俞閔閔はぐっすり眠り、翌日、顧靖溟は大統領としての日程を続け、庭園を視察することになった。俞閔閔も一緒に行ったが、今日の活動はやや散漫で、俞閔閔は後ろから見ていた。庭園には確かに多くの美しい景色があり、また多くの建物も非常に美しく、中にはさまざまな種類の鳥が飼われていて、絶え間なくさえずっていた。

俞閔閔は小鳥がとても可愛いと思い、立ち止まって見ているうちに、前の一行からだんだん離れてしまった。

気づいたときには、もう遅かった。

「あら、こんなに遠くまで来ちゃった」この顧靖溟は彼女に一言も言わずに行ってしまったのだ。

俞閔閔は急いで追いかけた。

「大統領夫人?」そのとき、エイミーが俞閔閔を見つけた。

俞閔閔は、豪華で上品な服装をした女性が目の前に立ち、眉を上げて彼女を見ているのを見た。

俞閔閔は言った。「私に話しかけているの?」

エイミーは言った。「素雅があなたに負けて、あなたが大統領夫人になったと知ってから、ずっとあなたがどんな人なのか不思議に思っていたの」

素雅?

尹素雅?

俞閔閔は立ち止まった。本当にどこに行っても尹素雅から逃れられないのだ。

俞閔閔は言った。「何がしたいの?」