第697章 本当に鳥肌が立つカップル

林澈は呆れた顔で俞閔閔を見て、「じゃあ大統領閣下も一緒に呼べばいいじゃない」と言った。

俞閔閔は彼女を睨みつけた。

死にたいのか、顧靖溟はまだ怪我をしているし、普段だって彼女は絶対に顧靖溟を連れて外出なんてしないだろう。もし何か起きたら、彼女には責任が負えない。

今回の一件を経験して、彼女はより一層実感した。大統領というのは、どれほど細心でなければならないか、どんなことも大事になりうるのだ。自分から死に向かって問題を作るなんてごめんだ。

薛洋は急いで端の方に寄った。

顧靖澤と、彼と一緒に来た若い男性を見て、名前は知らないが、風格があり、きっと並の人物ではないだろう。

彼は突然少し緊張し、自分が場違いではないかと心配になった。

林澈はこの時、俞閔閔をからかうのをやめ、まず皆に互いを紹介した。「こちらは碧ちゃん、アビゲイル、C国での名前は林碧よ」

「ああ、知ってる。あなたがウェスリー家からC国に来た娘さんですね」陳宇晟は彼女のことを聞いたことがあり、微笑みながら手を差し出して「こんにちは」と言った。

アビゲイルは「こんにちは、あなたは?」と尋ねた。

「陳宇晟です。ただの労働者ですよ」

アビゲイルは不思議に思いながら、何かを思い出したように彼に言った。「あれ、あなたは医者じゃないですか?」

「ええ、知ってるんですか?」陳宇晟は首を傾げた。

アビゲイルは言った。「はい、父から聞きました。以前、彼らはいつも私の心に問題があると疑っていて、私のために最高の心理医を探す必要があると思い、あなたに診てもらおうとしたんです。でも、父はあなたを招くことができませんでした。あなたはすでにアメリカを離れていて、家族だけがそこにいると聞きました。父はあなたのお父さんを見つけましたが、あなたのお父さんはあなたが研究をしていて、私のことは相手にしないだろうと言ったそうです。私は心に問題があるとは思っていないので、父にもう探させないつもりでした」

陳宇晟は言った。「そうですか、今日あなたは私に会えましたね。確かに私はあなたを助ける時間があまりありません。今は彼のために働いているので」彼は横にいる顧靖澤を指さした。