第254章 国宝のように貴重

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黒いロールスロイスが滑らかに走り続けていた。

墨家の古い邸宅に近づくにつれ、喬綿綿の緊張症がまた出てきた。

彼女は墨夜司の腕をしっかりと掴んで言った。「私、お土産を買った方がいいかしら?初めてあなたの家に行くのに、手ぶらで行くのはよくないわよね?」

彼女は前からお土産を買うと言っていたが、墨夜司は必要ないと言っていた。

でも喬綿綿は考えた末、やはり手ぶらで彼の家に行くのは良くないと思った。

しかし、お土産を買うにしても、何を買えばいいのか分からなかった。

墨家のような家には、何も不足していない。

もし普通すぎるお土産なら、恥ずかしくて渡せない。

かといって墨家が珍しいと思うようなお土産なら、彼女には買えない。

「何も問題ないよ」

この道中ずっと彼女が緊張状態にあるのを感じ取り、墨夜司は軽くため息をついた。「ベイビー、リラックスして。君は私の家に客として行くんだ。戦争に行くんじゃない」