沈柔の声だった。
おそらく彼女がすぐに返事をしなかったため、ノックの音がまた聞こえてきた。「綿綿、少し話があるんだけど、入ってもいい?」
喬綿綿が返事をする前に、「カチッ」という音がして、寝室のドアが開けられた。
沈柔が外から入ってきた。
喬綿綿が目を開けたまま横たわっているのを見て、彼女は眉をひそめ、少し不満そうな口調で言った。「寝ているのかと思ったけど、起きていたのね」
喬綿綿は、自分のだんなに片思いしているこの女性に対して特に何の意見もなかった。
一つには、確かに沈柔が先に墨夜司を知っていたからだ。
彼らは長年の友情があった。
二つ目に、彼女はよく分かっていた。墨夜司は沈柔に対して他の面での考えはなく、ただの友達としか思っていないことを。