第321章 あの女は妖狐だ

喬家の連中は、なんてこんなに厚かましいんだ。

一人一人が、高い枝に這い上がろうとしている。

貧乏に狂ったのか。

雲城で最も権勢のある墨家と沈家、これは一網打尽にしようとしているのか。

墨夜司が喬綿綿と知り合ったとき、彼女はまだ海外にいて、このことを止める暇がなかった。

でも今、彼女はもう見てしまったからには、喬家の人間にこれ以上好き勝手させるわけにはいかない。

沈馨は小さい頃から温室育ちで、外の世界の人心の険悪さに触れたことがなく、誰もが善良で素晴らしいと思っていた。

彼女の考えは純粋すぎて、簡単に悪意のある人に利用されてしまう。

喬綿綿が墨夜司に取り入るのに成功したことを見れば、その腹黒さは並大抵ではない。彼女の弟がましな人間であるはずがない。

沈馨も姉の言葉に衝撃を受けた。

聞いたところ、姉は喬家の人々を知っているようだった。

しかも、喬家の人々と確執があるようだ。

これは一体どういうことなのか？

「沈さん、今の言葉はどういう意味ですか？私たち喬家の人間がみんな厚かましいとはどういうことですか？」喬宸は怒り心頭で、もはや丁寧な口調ではなく、表情も冷たくなった。

沈柔の目には軽蔑の色が浮かんだ。「字面通りの意味よ。喬宸、警告しておくわ。これからは馨ちゃんに近づかないで。私たち沈家の娘は、あなたが手を出せる相手じゃない。馨ちゃんは純粋だからあなたの下心が分からないけど、私にはよく分かっているわ。」

「馨ちゃんが騙されやすいから、あなたはその顔を使って彼女を誘惑し、私たち沈家という高枝に這い上がって、簡単にあなたの階級を変えようとしているんでしょ？」

「夢見るのはやめなさい。馨ちゃんにはもう婚約者がいるのよ。彼女の将来の夫は彼女と釣り合いの取れた名家の御曹司であって、あなたのような貧乏人じゃないわ。」沈柔は喬宸の青白いが美しさを隠せない整った顔を見て、心の中に強い憎しみが湧き上がった。

喬綿綿はあの顔で墨夜司を迷わせた。

今度は彼女の弟もその顔で妹を迷わせようとしている。

姉弟揃って本当に厚かましい。

色で人を惑わすなんて、古代の妖妃がすることだわ。