第327章 司くん、あなたは本当に酷すぎる

「沈柔、私が前にあなたに言ったことは全て無駄だったようだね」

「あなたは上がらないことを選択できる。でも先ほど言ったように、この件は沈おじ様と沈おば様に事実をお伝えする。彼らが私に説明してくれると信じている」

沈柔は彼の態度が冷たく強気なのを見た。

本当に少しの交渉の余地もないようだった。

彼は心を決めて、喬綿綿たちを助けようとしているのだ。

以前は彼女が幼なじみで、長年の深い感情があることを頼みにしていた。たとえ彼が結婚しても、彼と知り合って間もないあの女性は、彼女の彼の心の中での位置には及ばないと。

だから、彼女は喬綿綿をあまり気にしていなかった。

彼女は常に、自分こそが最終的に彼のそばに残る女性だと信じていた。

しかし墨夜司が喬綿綿を連れて墨家に帰った後、彼女の心に不安が芽生えた。

墨ばあさまがあんなにも喬綿綿を気に入るとは思わなかった。

墨ばあさまは墨家で最も権威のある人物で、墨家の皆が彼女に孝行していることもあり、墨ばあさまが気に入った人を反対する人はほとんどいなかった。

さらに墨夜司も我が道を行く人だった。

墨家には彼を制御できる人はいない。

もし...いつか、彼が本当に喬綿綿を愛してしまったらどうしよう？

彼と喬綿綿が離婚するのを、いつまで待てばいいのだろう？

たとえ墨奥様が彼女を助けてくれても、喬綿綿と墨夜司はすでに結婚しているのだから、彼らを引き離すのはそう簡単なことではない。

墨夜司が彼女に感情がなく、ただ彼女にアレルギー反応がないから結婚しただけ、という場合を除いて。

でも、あの日書斎で彼と交わした会話を思い出すと...

彼は喬綿綿に対して、明らかに感情があった。

少なくとも今はある。

喬綿綿が墨夜司を誘って電撃結婚させたのだから、結婚後も他の手を使って彼を惑わし、彼を彼女にますます夢中にさせないとも限らない。

1年後、彼らが離婚するかどうか...本当にわからない。

もし、喬綿綿がこの1年の間に策を弄して子供を妊娠したら、墨家の子孫に対する重視度から考えると、彼女の墨家での地位も安定するだろう。

ここまで考えると、沈柔の心はますます不安になり、混乱してきた。