なぜかわからないが、喬宸は心の中が突然空っぽになったような気がした。
心臓にも微かな刺すような痛みを感じた。
3年間彼につきまとっていた人が、ようやく彼を解放してくれた。
彼は喜ぶべきだった。
しかし、喜びも安堵感も感じなかった。
心の中は、ますます重くなっていった。
彼の目には戸惑いと困惑の色が浮かんでいた。
彼は自分がどうしたのかわからなかった。
喬宸のことを一番よく知っているのは、喬綿綿だった。
弟のぼんやりとした様子を見て、喬綿綿は意味ありげに既に遠ざかっていく沈馨を見つめ、心の中でおおよその推測をした。
おそらく、この馬鹿な弟は本当に相手のことを嫌っているわけでも、うんざりしているわけでもないのだろう。
*
この食事は、それぞれが胸の内に思いを秘めながら食べた。
食事中、喬宸は時々携帯を取り出して見ていたが、何を見ているのかはわからなかった。
とにかく、心ここにあらずといった様子だった。
薑洛離はさらに、すぐにでも喬綿綿を引っ張って詳しく聞きたいと思っていた。いつ墨夜司と結婚したのか聞きたかった!
さっき、宮澤離という人が墨夜司と喬綿綿の電撃結婚のことを言ったとき、彼女はショックで顎が落ちそうになったのだ。
全身の調子が狂ってしまった。
なんてこと、彼女のちゃんと男神が既に結婚していたなんて?!
でも、どうしてこのことを彼女は知らなかったの?!!
喬綿綿が彼女に言っていたのは、ただ墨夜司と付き合っているということだけだった!
でも付き合うのと結婚するのとでは、大きな違いがある。
薑洛離は少し腹が立っていた。喬綿綿が彼女に隠し事をするとは思っていなかったから。
彼女たちは最高の親友同士だった。
結婚という大きな出来事を、彼女に隠すなんて?
喬綿綿も薑洛離の不機嫌さに気づいていた。少し考えてから、携帯を取り出してWeChatのメッセージを編集し、薑洛離に送った。
携帯の着信音が一度鳴ると、薑洛離も携帯を取り出した。
WeChatを開くと、「ちゃん」と登録している人からメッセージが届いていた。
綿綿不軟萌:洛洛、わざと隠していたわけじゃないの。学校に戻ったら、ゆっくり説明するからいい?