第397章 彼は本当に彼女を嫌っているのだろうか

彼の義兄は今、義姉をとても可愛がっているし、義姉は良い人と結婚したけれど、やはり二人は普通に恋愛して結婚したわけではない。

  義兄が今、埋め合わせをしたいと思っているなら、そうさせればいい。

  *

  墨夜司はまず喬宸を学校まで送った。喬宸が車から降りると、すぐにまた一台の高級車がやってきた。

  彼から遠くない所に停まった黒いベントレーを見て、喬宸は校門に向かう足を止めた。体の横に垂らしていた片手がゆっくりと握りしめられた。

  彼は後ろの人が自分を見ているのを感じた。

  しかし、振り返らなかった。

  むしろ足を速め、すぐに学校の中に入っていった。

  彼の後ろ数メートルの所で。

  車から降りたばかりの沈馨は顔色が青ざめ、唇を噛みしめ、目の縁が赤くなっていた。