第493章 あなたは塗一磊?

墨夜司は思わず口角を上げた:うん、後で話そう。

運転席で。

バックミラーから坊ちゃまの表情が「曇りから晴れ」に変わる全過程を見た李おじさんは心の中でため息をついた:この恋愛というものは、誰も逃れられないものだ。一度はまってしまえば、喜怒哀楽、すべて自分の思い通りにはならない。

彼の坊ちゃまは以前なんて颯爽とした人だったことか。

誰が彼の気分をこんなに左右できただろうか。

でも運命の人が現れた今、彼も普通の男と変わらなくなった。

一人の女性のために、自分らしさを失っていく。

これは良いことなのか、それとも悪いことなのか。

おそらく、良いことなのだろう。

人の心に何の執着も、何の気がかりもないなら、どんどん人情味がなくなっていく。

彼は坊ちゃまがそんな人間になってほしくない。