第546章 ここはだんなの会社です

今や、彼女は彼に心を奪われ、彼と長く一緒に過ごしていきたいと思っているからこそ、自分の家庭を守るために何かしなければならなかった。

他の女性に自分の夫を見つめられっぱなしというわけにはいかない。

*

喬綿綿がオフィスのドアを開けて入った瞬間、外にいた女性秘書たちは小声で話し始めた。

「沈さんは、墨社長に彼女ができたことを知っているのかしら?喬お嬢様を見たらどんな気持ちになるのかしら?」

「私は喬お嬢様が沈さんの墨社長への想いを知っているのかどうか気になるわ。」

「これから面白いことになりそうね。」

社長室の中。

喬綿綿が入ると、沈柔が机の傍らに立ち、何かを見下ろしているのが目に入った。

彼女は少し物思いに耽っているようだった。

部屋に人が入ってきたことにも気付かないほどに。