彼女は長年の付き合いがあるから、どんなことがあっても、彼の心の中で自分なりの位置を占めていると思っていた。
でも、この瞬間になって初めて、自分が間違っていたことに気づいた。
大きな間違いだった。
突然、沈柔は憎しみで胸が一杯になった。
彼のことを一番理解し、一番相応しく、一番誠実に愛している人間は自分のはずだった。
二十年以上も彼を愛し続けてきた。
最初の一目惚れから、二十年以上の長い恋になり、彼のことが好きすぎて、もう狂いそうだった。
たとえ彼が一度も応えてくれなくても。
それでも彼女の心には希望と期待が残っていた。
いつか、彼が自分の良さに気づいて、心を動かされると信じていた。
彼もいつか気づくはず、自分こそが墨夜司に最も相応しい人間だと。
二人は運命の相手同士なのだと。