第568章 今日の映画はとても良かった

喬綿綿：「……」

「本当です、若奥様。これからは、墨社長のところへ頻繁に来てあげてください」魏徵は誠実に提案した。「坊ちゃまは口には出しませんが、きっと若奥様に頻繁に来て欲しいと思っているはずです」

「魏秘書、実は……」喬綿綿は黙って彼を見つめた。

「若奥様？」

「実は、あなたが私に来て欲しいだけでしょう」

魏徵：「……ゴホンゴホン」

喬綿綿は彼の思惑を見抜いて言った：「そうすれば、あなたが早く帰れるでしょう」

魏徵はさらに激しく咳き込んだ：「ゴホンゴホンゴホン……」

*

喬綿綿は墨夜司の仕事が終わるのを待って、二人でキャンドルライトディナーを楽しんだ後、映画を見に行った。

彼らが買った映画のチケットは、最後列の席だった。

映画が始まり、場内の照明が消えると、周りは真っ暗になった。

しばらくすると、喬綿綿は隣からガサガサという音が聞こえてきた。音の方を振り向いてみると、隣に座っているカップルがキスをしているのを見て、気まずくなった。二人は熱烈なキスを交わしていた。

もう片方の席にも、カップルが座っていた。

そのカップルもキスをしていた。

彼女は顔を赤らめ、急いで前を向き直したが、暗闇の中で熱い視線を感じた。

顔を上げると、墨夜司が熱い眼差しで彼女を見つめていた。

暗い照明の中でも。

隣の男性の輝く瞳がはっきりと見えた。

喬綿綿は彼のその眼差しを見て、唾を飲み込み、小声で言った：「映画を見ないで、私を見つめて何してるの？」

顎が引き締まり、男性の長く冷たい指が彼女の顎を掴んだ。彼は少し頭を下げ、同じく低い声で、少し色っぽく言った：「ベイビー、前回どうして教えてくれなかったの？映画はこうやって見るものだって」

「えっ？」喬綿綿はまばたきをした。

温かい息が先に降りてきた。

続いて、男性の端正な顔が二倍に大きく見えた。

墨夜司は喉から低い笑い声を漏らした：「さっき見たでしょう？だから、最後列の席を選んだのは、これが目的だったの？」

言葉が終わるや否や、熱い唇が彼女の唇に触れ、軽く噛んだ。

喬綿綿：「……」

誤解しているのよ。

最後列の席を選んだのは、最後列しかチケットが残っていなかったからよ。

「違うの、墨夜司、私は……」

「シーッ」