第636章 どんな結果になるかは、あなたの選択次第

彼も珍しく墨奥様の前でこのように低姿勢を見せていた。

だから、最後の言葉を聞き終えた後、墨奥様は呆然としていた。

彼女は驚いて自分の息子を見つめ、その低姿勢な様子に、複雑な思いが込み上げてきた。

自分が産んだ息子のことは、誰よりも理解していた。

以前なら、彼は何かをしたいと思えば、やりたいことがあれば、すぐに実行していた。

めったに他人の意見を気にすることはなかった。

実の母親である彼女でさえも。

幼い頃は、まだ年齢が小さく、完全に独立することができなかったため、彼女は強引に一度か二度は彼を左右できた。

しかし後に、彼は徐々に成長していった。

13歳の年に自力で相当な金額を稼いでからは、もう彼を左右することは難しくなった。

結婚に関しても、同じだった。

誰と結婚したいと思えば、すぐに結婚してしまう。

一言の相談もなく。

彼女には受け入れる以外に、どうすることもできなかった。

今の彼は、完全に一人前で、精神的にも物質的にも、非常に独立している。

彼女はもはや...彼に何かをさせることなどできなくなっていた。

そんな人物が、今では相談を持ちかけ、彼女に頼み事までしている。

墨奥様が驚くのも当然だった。

しかし、このような変化は墨奥様を喜ばせることはできなかった。

むしろ、彼女の心は何かに刺されたように痛んだ。

なぜなら、この変化は彼女のためではなく、喬綿綿という女性のためだったから。

墨奥様は長い間黙っていた。

息子が初めて彼女の前でこのように低姿勢で頼んできたため、断る言葉を口にするのも忍びなかった。

しかし、喬綿綿を受け入れることもできなかった。

「母さん」墨夜司はしばらく待ってから、墨奥様の困った様子を見て、考えてから深い声で言った。「喬綿綿は私が一生を決めた女性だ。最終的にあなたが彼女のことを好きになろうとなるまいと、私は彼女と別れることはない」

「だから、できれば徐々に彼女のことを好きになってほしい。そうすれば、これからみんなが気楽に過ごせる」

「私は姑と嫁の対立が我が家で起こることは望まない。そういったことが一度起これば、どんな結果になるか、あなたもよくわかっているはずだ。もし、あなたがそういった事態を引き起こすのなら、これからは彼女を連れて帰ることはできない」