しかし、彼女はすぐに塗一磊が最近多くの女性芸能人に強引にCPを炒められていることを思い出した。
例えば、数日前、彼女はあるエンタメニュースを見た。
塗一磊とバラエティ番組に一緒に出演した女性芸能人のことで、番組内で二人は少し会話を交わした。
しかし全体的に見れば、交流は多くなかった。
それなのに、彼女のファンたちが強引に「恋愛フィルター」をかけ、意図的に多くの所謂「甘い絡み」をカットして編集した。
塗一磊はアイドル路線で売れたわけではないが、現在の芸能界で最も人気のあるイケメンとして、熱狂的な女性ファンも非常に多い。
当然、その女性芸能人のファンが強引に彼らの一磊お兄さまのCPを炒めることは許せなかった。
そこで、大勢の「塗鴉」と呼ばれるファンがその女性芸能人のウェイボーに押し寄せて彼女を罵倒した。
散々な目に遭わせた。
そして彼女を話題のトレンドに押し上げた。
その女性芸能人はこのような方法で、炎上しながらも注目を集めることに成功した。
連続で丸三日間もトレンドランキングのトップ10に入った。
その前にも、他の女性芸能人がこの手を使っていた。
意図的にCPを炒め、塗一磊の人気にあやかって、このような方法で有名になろうとした。
たとえ炎上でも、注目されることには変わりない。
無名でいるよりはましだ。
おそらく、塗一磊のマネージャーはこれらの女性芸能人の便乗商法に懲りていたのだろう。
だから女性芸能人が塗一磊に近づくのを見ると、本能的に自分の所属タレントの人気に便乗しようとしていると感じたのだ。
そう考えると、喬綿綿の心はそれほど憂鬱ではなくなった。
相手がそのような心配をしているなら、彼女は...塗一磊との接触を控えめにしよう。
そもそも、塗一磊のような地位の男性芸能人と彼女は格が違う。
彼女も意図的に近づこうとは思っていなかった。
「塗さん、お忙しいようですので、これ以上お時間を取らせません。私も荷物の整理をしなければならないので、では失礼します。さようなら。」
喬綿綿は塗一磊のマネージャーに便乗商法を狙っていると思われないよう、言い終わると塗一磊の返事も待たずに、ナナを引っ張ってその場を離れた。
「綿綿さん、ちょ、ちょっと待ってください...」