相手は彼女の前で威張るどころか、こんなにも優しくしてくれている。断ったら、恩知らずに見えるのではないだろうか?
少し考えた後、やはり手を伸ばして受け取った。
「塗さん、ありがとうございます」彼女は小さな扇風機を持ちながら、甘く微笑んだ。
塗一磊は体の横に垂らした手を強く握りしめ、彼女の唇の端にある甘い笑顔に目を留め、思わず数秒間止まってしまい、突然心臓が速く鼓動するのを感じた。
これは...今まで一度も感じたことのない感覚だった。
こんな女の子がいるのか、笑顔がこんなにも美しい。
彼女が笑うと、まるで世界全体が美しくなったかのようだった。
彼の心臓は、太陽の光に愛撫されたかのように、胸の中のある場所が、その瞬間特別に温かくなった。
彼は生まれて初めて、女の子というのはなんて可愛い生き物なのだろうと感じた。