第717章 私たちはずっと彼女を探している

嫌悪感や吐き気は感じなかった。

むしろ、温かい感じがした。

彼女には兄がいないけれど、その瞬間、まさにそんな感じだった。

白玉笙の説明を聞いた後、彼女は心が軽くなったような気がした。

どう言っても、白玉笙は彼女が尊敬している監督の一人だった。

何かの事情で、彼と疎遠にならなければならなくなるのは嫌だった。

「白監督……」

「もし良ければ、プライベートでは白にいさんと呼んでくれていいよ」白玉笙は隣の少女を見て、温かい目で言った。「そう呼んでくれたら、もっと嬉しいな」

喬綿綿は彼の目を見つめ、胸がまた温かくなり、少し躊躇してから、小さな声で呼んだ。「白……にいさん？」

白玉笙の目に楽しそうな笑みが浮かんだ。「そう呼ばれると、本当に兄になった気分だよ。もし妹が私たちと離れ離れになっていなかったら、今頃君くらいの年齢だろうね」

白玉笙は言いながら、目に少し残念そうな表情を浮かべた。「今どうしているのかな、幸せに暮らしているのかな。あの家族は彼女に優しくしているのかな、幸せに楽しく成長しているのかな。はぁ、幸せに暮らしているなら良いんだけど、それだけでも心が慰められるんだけど。もし彼女が不幸せだったら……」

「白にいさん、安心して。きっと彼女は幸せに暮らしていると思います」喬綿綿は白玉笙の気分が落ち込んでいるのを感じ取り、慰めるように言った。「いつか、また会えるかもしれませんよ」

「そうだといいね」白玉笙は軽くため息をついた。「実は、この何年もずっと彼女を探し続けているんだ。でも、当時彼女を養子に迎えた家族は、どうやら姓名を変えて、以前の場所では暮らしていないみたいなんだ」

「何年も探し続けているけど、見つけることができていない」

「でも、どれだけ時間がかかっても、諦めるつもりはないんだ。予感がするんだ、いつか妹は家に帰ってくると。私たち家族は必ず再会できる日が来るはずだ」

「はい、きっとそうですね」

喬綿綿は実は、その妹がどうして彼らと離れ離れになったのか、とても気になっていた。

でも考えてみれば、特別な事情がなければ、家族がどうして離れ離れにならなければならないのだろう。

だから、きっと話せない理由があるのだろう。

少なくとも、彼女のような部外者には話せないことなのだろう。

どんなに気になっても、聞くべきではないと思った。