第729章 不安だから、彼女を見に行く

白玉笙の声が怠そうに届いてきた。「言っただろう、無事に届いたって」

「でも、彼女と連絡が取れないんだ」墨夜司は不安そうに深いため息をつき、「LINEを送ったけど返信がない。さっき電話したけど出なかった。何か起きたんじゃないかと心配で」

「ホテルまで送った後、そのまま帰ったの？部屋まで送らなかったの？」

「部屋まで送れとは言われてないだろう」白玉笙は無関心そうに言った。「何を心配してるんだ。エレベーターに乗るところまで見届けたし、ホテルのセキュリティもしっかりしてるから、安心しろよ」

「安心だって？」墨夜司は既に心配で仕方がなかったのに、この言葉を聞いて爆発寸前だった。「今、連絡も取れないのに、よく安心しろなんて言えるんだ？俺がどれだけ心配してるか分かってるのか？」

「分からないね...」

「白玉笙」墨夜司は歯ぎしりした。

白玉笙は無邪気な口調で「本当に分からないんだよ。恋愛したことないから、恋する男女の気持ちなんて分からないよ。心配なら直接見に行けばいいじゃないか、そうすれば彼女が無事かどうか分かるだろう」

「行くつもりだ」

墨夜司は一階ずつ下がっていく数字を見つめながら、今日のエレベーターは何てこんなにゆっくりなんだと感じていた。

地下一階にまだ着かないのか！

彼は増していく不安な気持ちを抑えながら、冷静さを保とうと努めた。「すぐに空港に向かって、一番早い便で行く。でも、早くてもF市に着くまで3時間はかかる」

こんな時、遠距離の無力さを痛感した。

たとえ権力があっても、すぐに彼女の側にいることはできない。

今この瞬間、焦りに焦っても。

何も変えられない。

「今、彼女と連絡が取れなくて、向こうの状況が分からなくて、俺は...怖いんだ。玉笙、すぐに見に行ってくれ。彼女が無事かどうか、早く確認したいんだ」

向こうは一瞬黙った。

墨夜司は待ちきれず、焦って言った。「玉笙、俺の言葉が聞こえてるのか。すぐに...」