第742話 火事と泥棒と親友に用心

喬綿綿は目を閉じて彼の胸に寄りかかり、返事をする気力もなかった。

今の彼女は……返事をする力もなかった。

墨夜司という男は、人の皮を被った獣だ!

間違いなく獣だ!

人間じゃない!

お風呂に入ると言っていたのに、入っているうちに、彼女に手を出し始めた。

喬綿綿は浴室の壁に押し付けられて二回も求められた。二回とも長くはなかったものの、男は様々な技を使い、どこで覚えてきたのか分からない新しい技を使って、彼女は泣き出してしまった。

しかし、彼女が泣けば泣くほど、その獣はより興奮していった。

さらに恥ずかしい技で彼女を責め立てた。

うぅぅ、今から離婚したいけど、間に合うのかしら。

彼女が無視していると、墨夜司も自然と何も言わなくなった。彼は再び彼女の額に軽くキスをし、頬を撫でながら言った。「撮影の休みを取らせる。明日は早く現場に行かなくていい。」

「ゆっくり休んで、十分眠れたら行けばいい。」

ずっと無視していた喬綿綿は突然目を開け、彼が既に携帯を取り出しているのを見て、慌てて止めた。「ダメ、墨夜司、休みを取らないで。」

白玉笙にメッセージを送ろうとしていた墨夜司は眉を上げて言った。「ん?ゆっくり休みたくないのか?」

喬綿綿は唇を噛んで言った。「撮影に入って数日で休むなんて、よくないわ。明日の朝は、起きられるから。とにかく、休みを取らないで。白にいさんに悪い印象を与えたくないの。」

「それくらい大したことない。」墨夜司は気にしない様子で言った。「俺が休みを取らせれば、彼は何も言えないさ。」

「ダメ。」喬綿綿は断固として拒否した。「言少卿さまと白にいさんは仲が良くて、私のことを頼んでくれたけど、その関係を利用して特別扱いを求めるわけにはいかないわ。」

「白にいさんに良い印象を残したいの。」

墨夜司は唇を曲げて彼女の話を聞いていた。

聞いているうちに、男の唇の笑みが凍りついた。

喬綿綿が話し終えると、彼は作り笑いを浮かべて唇を歪めた。「白にいさん?」

いつの間に、彼の妻と白という男はこんなに親しくなったのか。

呼び方まで白にいさんになっているとは?

塗一磊という小僧の問題がまだ解決していないのに、今度は白玉笙まで加わったのか?

塗一磊からの脅威が五分だとすれば。

白玉笙は七分だ。