第211章 社長と副社長

顧宁が相手と親しいわけではないが、彼の優れた記憶力のおかげで、一度真剣に見つめたり、声を聞いたりしただけで、心に刻まれるのだった。

 言葉が落ちると、二人の気品のある美しい婦人が入ってきた。そのうちの一人は、顧宁が秦家のパーティーで一度会ったことのある郝夫人で、郝然の母親だった。

 そして先ほどの声の主も、その夫人だった。

 郝夫人と一緒に来た婦人も、顧宁がいれば覚えていただろう。秦家のパーティーに出ていたが、ただ相手の身分を知らなかっただけだ。

 「郝夫人、陸奧くさま、いらっしゃいませ」来客を見て、顧蔓と顧晴はすぐに丁寧に出迎えた。相手の身分に卑屈になったり、へつらったりすることはなかった。

 林麗娟は、相手が「二人の顧社長」と言うのを聞いて、少し戸惑った。

 二人の顧社長って、どういう意味?