「テンシに行くんですか。偶然ですね、私もテンシに行くところです。」趙越峰はさらに喜んだ。顧寧がテンシに行くのは、賭石のためだろうと分かっていたが、今はあまり多くを言わない方がいいと思った。
「趙せんせいはどの便ですか?」顧寧が尋ねた。
「1時20分の便です。顧お嬢様はどうですか?」趙越峰が言った。
「同じですね。立っていないで、まず座りましょう!」顧寧が言った。
「はい」趙越峰も遠慮せずに座った。今は顧寧と一緒に行きたいと思っていた。そうすれば、彼女に目利きをしてもらえるかもしれない。
「趙社長、この老いぼれを無視するつもりかい?」そのとき、章おじいさまの少し責めるような声が聞こえてきた。その口調は高慢ではなく、親しみのこもったものだった。
章おじいさまは趙越峰が顧寧を見たときの喜びと、顧寧に対する敬意のある態度を見て、心の中で非常に驚いていた。
彼には分かった。趙越峰の顧寧に対する敬意は、能力への感嘆からくるものであり、権力への媚びではないことが。
そのため、章おじいさまは驚いた。この若い女性に、どんな能力があって趙越峰を感嘆させるのだろうか。
趙越峰はこの少し責めるような声を聞くと、すぐに振り向いた。章おじいさまを見て、驚きと喜びを込めてすぐに立ち上がり、申し訳なさそうに言った。「章おじいさま、あなたでしたか!申し訳ありません、気づきませんでした。数ヶ月ぶりですね、お体の具合はいかがですか?」
「相変わらずだよ、古い病気さ。死ねないのがせめてもの慰めだな。」章おじいさまは無関心そうに言ったが、目の奥には一瞬の暗さが過ぎった。
死ぬことはないかもしれないが、苦しみに耐えるのは辛いものだ。誰だって健康でいたいと思うものだ。
章おじいさまはこの話題を変えたくて、話を転じた。「趙社長の商売は順調そうだね。またテンシに行くそうだが。」
「商売の方はまあまあですね。でも年末ですから、普段よりは少し良いです。運を試しに来て、良いヒスイが手に入らないかと思っています。」趙越峰は言って、それから尋ねた。「章おじいさまの方では、新しい原石は採掘されましたか?」
原石の採掘?章姓。