第285章 骨董品街で唐おじいさんと出会う

「王家の倉庫から持ち出された原石から翡翠が出てきたかどうかは私も確信が持てません。ただ、彼らの倉庫を調べてみることはできます」林建も確信が持てず、信じたくもなかったので、断定はできず、さらなる調査が必要だと考えた。

「よし、腕の立つ者を何人か連れて行け。本当だったら、なんとかしてその原石を取り返してこい」王洪明は命じた。その目には悔しさと冷酷さが光った。

もしその翡翠の出た原石が本当に王家の倉庫から持ち出されたものだとしたら、彼がそれを甘んじて受け入れられるはずがない!

今回ばかりは、彼は顧寧を徹底的に憎むことになった。

「はい」林建は答えて、そのまま出て行った。

顧寧と冷少霆は賭石街を離れた後、骨董品街に向かった。一昨日も行ったが、それは夜だったので、見られた骨董品は3分の1程度に過ぎず、昼間はもっと多くなる。

「あなたはテンシに任務で来ているのに、ずっと私に付き添ってくれて、本当にいいの?」古い町に向かう途中、顧寧は尋ねた。冷少霆が自分で判断できることは分かっていたが、それでも申し訳なく感じていた。

「大丈夫です。今回の任務は麻薬密売組織の摘発ですが、すでに潜入捜査官が相手の信頼を得ています。その組織の隠れ家の場所が分かり次第連絡が来るので、そこで一斉検挙します」冷少霆は説明した。

冷少霆がそう言うなら、顧寧もこれ以上は何も言わなかった。

古い町に着くと、昼間の骨董品は確かに夜よりもずっと多かった。G市の骨董品街と比べても、引けを取らないほどだった。

骨董品を見るやいなや、顧寧は透視を発動させた。

歩いていくうちに、顧寧は霊気を帯びた古い品を見つけた。それは青花磁器の皿だったが、他人の手にあった。

顧寧がその人物を見ると、なんと知り合いだった。

顧寧は口元に笑みを浮かべ、その人物に近づいて挨拶した。「唐おじいさん」

そう、その相手は唐おじいさんだった。

唐おじいさんは声を聞いて顔を上げ、顧寧だと分かると表情を輝かせ、少し興奮した様子で即座に立ち上がり、喜んで挨拶を返した。「顧ちゃん、君か!なんという偶然だ!」