第304章 そんなに早く拒否しないで

今や、司徒野は冷少霆に挑発をかけていた。以前のように何も言わず、何もしないのではなく。

もし何も言わず、何もしなければ、男としての価値がないだろう。

キスを重ねるうちに、冷少霆は貪欲にもっと求めるようになった······

冷少霆は顾宁に対して抵抗力がなく、すぐに火がつきそうになったが、この場所は適切ではなかった。まだ理性が残っていた顾宁は即座に彼を押しのけた。

欲求不満で苦しそうな表情を浮かべる冷少霆を見て、顾宁は顔を赤らめながらも心配になり、なだめるように言った。「あの、ここは、適切じゃない······」

冷少霆もここが適切でないことを理解していたので、それ以上は続けなかった。

ただし、体が辛かった。

興奮が収まる気配がないのを感じ、冷少霆は即座に顾宁を予約した部屋へと連れて行った。

司徒野の部屋を予約した時、冷少霆も一部屋余分に予約していた。昼食までの時間はまだ2、3時間しかなく、どこかに行くのも良くないので、部屋で休んだ方がいいと考えたからだ。

今こそ、本題に入る時だった。

部屋に戻るなり、冷少霆は顾宁を押し倒した。

しかし冷少霆は急いで顾宁を貪り食うことはせず、一歩一歩手順を踏んでいった。欲望を発散したい気持ちはあったが、自分だけが満足して顾宁を不快にさせるわけにはいかなかった。それは顾宁に対して失礼だからだ。

顾宁の体は少し震えていた。寒さではなく、冷少霆が残していった痺れるような感覚のせいだった······

そして、言葉では表現できないことが起こった······

······

もう一つの大統領スイートで、司徒野は疲れを感じていなかったので休まず、窓辺に立って物思いにふけっていた。

彼は考えていた。自分の顾宁に対する気持ちは本当にそういうものなのか?そして自分の立場で顾宁に幸せを与えられるのか?結局のところ、彼の立場は特殊で、敵も多く、危険な状況にあり、陰で彼の死を望む者は数え切れないほどいた。

だから、もし顾宁が彼と一緒になれば、いつか何かあった時に顾宁も巻き込まれることになる。そんな結果は、彼の望むものではなかった。

しかし、そういった「できるかできないか」という理由で顾宁を追いかけることを諦めるのも、できなかった。そういった危険は彼の心配に過ぎず、必ずしも現実になるとは限らない、そうだろう?