一番手の殴り屋は大鵬と呼ばれ、三十五歳で、体格が良く、筋肉質で、力が非常に強かった。そして、鐵軍よりも身のこなしが優れていたからこそ、鐵軍が敗れるのを見ても、なお高熠に挑戦しようとしたのだ。
しかし、彼も勝てる確信は百パーセントなかった。高熠が本物の達人だったからだ。だが、達人同士が出会えば挑戦意欲が湧くものだ。そのため、鐵軍が負けたからといって、負けを恐れてこの機会を逃したくなかった。
本当に負けても、せいぜい数千万の賠償金だ。それくらいなら払える。
「いいだろう。ただし、胴元なしだ」高熠は受けた。まだ満足に戦っていなかったのだ!
「了解」大鵬は応じた。
そして、新たな賭けの時間となった。ただし、賭けの前に、前回の勝ち金の回収と支払いを済ませた。
この試合で、高熠は相手の勝ちに賭けた千二百六十五万二千元と勝場の十万元を受け取った。つまり、この試合で高熠は千二百七十五万二千元を得たことになる。
このお金は、顾宁から渡されたカードに振り込まれ、自分のカードではなかった。顾宁のカードは国内のカードで、どこでも引き出しや支払いができたが、スイス銀行のカードは国内では送金とカード決済しかできず、しかも使える場所も限られていて不便だったからだ。
そして、このお金は自分のものにするつもりはなく、顾宁の仕事を手伝う時に必要に応じて使うつもりだった。
試合が始まる前、皆がどちらが勝つ可能性が高いかを議論していた。
高熠が鐵軍に勝ったとはいえ、帝豪クラブの常連は大鵬の実力が鐵軍以上だということを知っていたので、鐵軍の敗北で大鵬への信頼を失うことはなかった。
「誰が勝つと思う?」
「わからないな。この高熠は確かに凄いが、大鵬も負けてはいない。鐵軍以上だからな」
「じゃあ、誰に賭ければいいんだ?」
「大鵬が高熠に挑戦するということは、何かあるはずだ。だから俺は大鵬に賭ける」
「私は高熠に賭ける」
「俺は大鵬だ」
「······」
「この男が高さんに挑戦するということは、相当な実力があるはずです。ボス、どう思われますか?」郝然が尋ねた。高熠を信じていないわけではなく、ただ顾宁をより信頼していただけだ。
「高熠が勝つ」顾宁は確信を持って言った。