そして、その女性は顾寧を見つめ、感謝の気持ちを込めて「ありがとう」と言った。
顾寧はただ「うん」と返事をしただけで、それ以上は何も言わなかった。
空港には救急センターがあったため、すぐに救急車が到着し、その女性が救急車に乗せられた後、顾寧もその場を離れた。
立ち去る前、顾寧は誰かの視線を感じていたが、顾寧が振り向いた時、唐雲帆もちょうど背を向けたところだった。顾寧が見たのは唐雲帆の後ろ姿だけで、特に気にすることもなく、そのまま立ち去った。
「社長、どうされましたか?体調が悪いのですか?」秘書の厳玮倫は自分の上司の様子がおかしいことに気づき、心配そうに尋ねた。
「大丈夫だ、行こう」唐雲帆はそう言うと、すぐに空港の出口へ向かった。
顾寧はすぐに車で空港を離れることはしなかった。というのも、どこに行けばいいのかわからず、その古墳のある村がどこにあるのかもわからなかったからだ。海市はとても広く、周辺には多くの村があり、どの村なのか誰にもわからない。
この時、Kに助けを求めるしかなかった。
顾寧はまず、Kに携帯電話をハッキングして位置情報を取得できるかどうか尋ねた。
Kは可能だと言ったが、すべての携帯電話でできるわけではなく、位置情報機能に対応していない場合や、ネットワークがオフ、電源が切れている、または電波が届かない状況では位置情報を取得できないと説明した。
とにかく試してみるしかないと、顾寧はKに蘇安雅の兄である蘇安昀の携帯電話をハッキングして、彼の位置情報を取得するよう依頼した。
しかし顾寧は蘇安昀の電話番号を知らなかったため、蘇安昀の基本情報だけを伝えて、Kに調べてもらうことにした。
顾寧から依頼された調査について、Kはいつものように余計な質問はせず、危険なことや国家に害を及ぼすことでなければ良いという態度だった。
数分後、Kは顾寧に、対象の携帯電話の電波状態が悪く、数秒しか信号が現れなかったため、現時点では位置を特定できないと報告した。
そうなると、顾寧は当面そこへ行くことができないため、Kに監視を続けてもらい、位置情報が取得できたら知らせてもらうことにした。
そして今は、骨董品街に行って掘り出し物がないか探してみることにした。