第510章 唐雲帆に異変が1

多くのクラスメートが顾寧のことを心配していたが、邵菲菲たちだけは、顾寧に何か大変なことが起きることを願い、彼女の不幸を喜ぶような態度を隠そうともしなかった。

顾寧は教室を出るとすぐに携帯を取り出し、唐雲帆に電話をかけ、大型トラックを避けるように伝えようとしたが、唐雲帆の電話は通話中で、彼女の心は一気に冷え込んだ。

彼女は、もはやこの事故を防ぐことはできないと悟り、できるだけ早く現場に駆けつけるしかないと思った。相手にまだ息があれば、必ず助けられると信じていた。

顾寧が運動場を通りかかった時、校長が車から降りてきたところだった。顾寧はそれを見て、直接校長の前に行き、「校長先生、お車をお借りできませんか?急用があるんです」と言った。

以前なら、顾寧はこんな頼み事はしなかっただろう。校長は彼女が誰なのかも知らないのに、車を貸してくれるはずがないからだ。しかし今は違う。朝、張秋華が校長と彼女のことについて話をしたので、今では校長も彼女のことを知っている。

車を簡単に貸すべきではないが、顾寧にも他に選択肢がなかった。タクシーを拾おうとしても、すぐには見つからないし、タクシーの運転手も速く走ってくれるとは限らない。

最初、校長はこの要求に腹を立てた。誰かが突然車を借りに来るなんて、車は簡単に貸せるものではない。しかし、顾寧だと分かり、特に彼女の焦った表情を見ると、何も聞かずに同意した。

顾寧は鍵を受け取るとすぐに車に乗り込み、エンジンをかけ、シューッと飛び出していった。校長は顾寧のスピードに体が震えるほど驚いたが、彼女が完璧なカーブを描いて出て行くのを見た。

於米希が追いかけてきた時には、顾寧が校長の車に乗って去っていくところだった。於米希も顾寧の驚異的なスピードに驚いた。

顾寧を追いかけられない於米希は教室に戻るしかなく、運転中の顾寧の邪魔にならないよう電話もかけられず、ただ顾寧に何も起こらないことを祈るばかりだった。

幸い、ラッシュアワーではなかったので、ほとんど渋滞はなく、信号待ちだけだった。

海市での時と同じように、顾寧は車を猛スピードで走らせ、交通量の多い場所でも可能な限り減速せず、巧みに他の車を追い抜いていった。