このものは研究で解明できないからこそ、顾宁はこんなに高い値段を付けても、他人が彼女の薬を別の用途に使おうとすることを心配する必要がなかった。
安茜は顾宁を信じていたが、父親は必ずしもそうではないだろう。たとえ信じたとしても、壁にぶつかるまで諦めないだろう。そのため安茜は「口座番号を私の携帯に送って、振り込むわ」と言った。
「いいえ、安おじさんへのプレゼントということで」と顾宁は気にせず言った。
「えっ!」
安茜は驚いた。要らないって?この一粒は百万円の価値があるのに!顾宁が要らないなんて。
確かに百万円は彼女の家にとっても大金だが、父が欲しがっているのだから仕方ない!それに、医学の専門家が薬品研究に対して持つ情熱も理解できる。
「そんなわけにはいきません!これは数千円の話じゃないんです!」安茜は顾宁の薬をタダでもらうなんてできるはずがない!これは百万円なのだ!確かに顾宁は裕福だが、彼女のお金だって風が吹いてきたわけじゃないのだ!
「この薬の効果は確かに素晴らしいけど、私にとってはお金をかけずに手に入れたものだし、これで儲けようとも思っていない。遠慮しないで。せいぜい、今回の叔父さんの入院費用を免除するということで」と顾宁は言った。
「でも······」それでも安茜は申し訳なく感じた。
「もういいから、遠慮しないで。私を友達とみなしてないの?」顾宁はわざと不機嫌な表情を作って言った。「もしこれ以上こだわるなら、もう要らないってことにするわよ」
「······」安茜は口を開きかけたが、結局これ以上断ることはできなかった。
要らないって?そんなはずない。帰ったら父に叱られて死ぬに違いない。
「じゃあ、ありがとう」安茜は礼を言った。「時間があるときに、ご飯でも奢らせてください」
「いいわよ」顾宁は承諾した。
安茜はしばらくして帰っていった。
顾宁は本来、顧晴と王素芬に帰って休むように言ったのだが、彼女たちは顾宁と顾蔓のことが心配で帰りたがらず、顾蔓が出てくるまで待つと言った。
長い時間待っても顾蔓は出てこず、顾宁は時間も遅くなってきたのを見て、顧晴に出前を買いに行かせた。
顧晴一人では持ちにくいだろうと考え、王素芬も一緒に行った。
顾蔓は病室で一人ほぼ一時間過ごし、やっと気持ちを整理して出てきた。