張順林は龍さんを探し出し、十万円を渡して自分と一緒に芝居を打つように頼んだ。顧慶陽が賠償した二百万は二人で折半することにした。
司徒野の制限により、青幫の者たちは長い間、勝手に仕事を引き受けて金を稼ぐことができなかった。今回、龍さんは頭が熱くなって承諾してしまった。
ただ、鉄板を蹴ってしまうとは思わなかった。
「張順林」
この名前を聞いて、顧慶陽の表情は一気に曇り、歯を食いしばりながらその名を呼んだ。
彼は当然張順林という人物を知っていた。それも長い間知っていた。
この張順林は、大学時代に文玉蘭に求愛し、拒絶された後、ずっと彼女の評判を落とし続け、文玉蘭が貧しい者を嫌い金持ちを好むなどと言いふらしていた。
しかし、自分の姿を見てみろよ。
人を好きになれば、貧富なんて関係ないはずだ。でも少なくとも相手の目に適っていなければならない!感じるものがなければならない!
顧慶陽も貧しかったが、容姿は悪くなく、少なくとも文玉蘭の目に適っていた!
外見は関係ないなんて言うな。嫌いな人と向き合っていたら、食事すら喉を通らないだろう!
今回、顧慶陽は張順林を完全に憎むようになっただけでなく、普段仲の良かった二人の友人も憎むようになった。金のために自分を陥れるとは、思いもよらなかった。
「今後、龍さんが誰かが叔父さんを狙っているのを知ったら、叔父さんのために一言言ってくれることを願います」顧寧は龍さんの責任を追及せず、むしろ丁寧に言った。
「必ず、必ず」龍さんは即座に答え、こっそり冷や汗を拭った。
顧慶陽が顧寧の叔父だと知っていたら、誰も手を出そうとは思わないだろう!
事の次第が分かったので、顧寧はもう何も言わず、顧慶陽を連れて立ち去った。
しかし、顧寧は張順林を見逃すつもりはなかった。
「寧寧、ありがとう。君がいなければ、この件をどうすればよかったか分からなかった」車に乗ってから、顧慶陽は顧寧に感謝した。
「実は、この件は私にも責任があります。今日私が彼をひどく叱りつけなければ、彼もこんな考えは起こさなかったかもしれません」顧寧は少し申し訳なさそうに言った。文玉蘭は張順林に初めて会ったわけではなかったが、相手はいつも口先だけで、文玉蘭と顧慶陽に対して実質的な行動を起こすことはなかった。