第555章 裴何娜は大胆な女

夏亦初はしばらく呆然としていた。この薬で、彼女の傷跡が治るというのか?

夏亦初は疑わしく思った。なぜなら、そんな奇跡の薬が世の中にあるはずがないと思ったからだ。結局、彼女の傷跡は小さくないし、治すには整形しかないと思っていた。

しかし、顾宁には彼女を騙す理由がないとも考えた。彼女と顾宁の間には利害関係もなく、まして何の因縁もなかったからだ。

彼女は相手にとって唯一価値のある存在として、大切にされるべきであって、害されるべきではなかった。

しかし今となっては、たとえ相手が本当に騙していたとしても、賭けてみる価値はある。虎穴に入らずんば虎子を得ずというではないか?

試してみれば希望はある。試さなければ、希望は全くないのだ。

そこで、夏亦初は顾宁の薬を受け取り、心から「ありがとう」と感謝した。