裴何娜は直ちに自分のもう一つの携帯電話を取り出し、喬冠翔に渡した。喬冠翔は携帯を受け取るとすぐに夏亦初に電話をかけた。
今回は電話がつながったものの、やはり応答はなく、数回の呼び出し音の後に切られてしまった。
「くそっ、夏亦初は本当に裏切ったのか」喬冠翔は怒りで携帯を投げ出しそうになったが、それ以上に恐怖を感じていた。
実は、夏亦初は喬冠翔の電話番号をブラックリストに入れていたため、彼からの着信に気付くはずもなかった。別の番号で電話をかけてきた時、夏亦初は着信を確認したが、発信地が海市だと分かり、喬冠翔からの電話だと悟って出なかった。
夏亦初は京城に行った以上、この番号を使い続けるつもりはなかったが、まだ番号を変更する時間がなかったため、一時的に使用していただけだった。