「江伊涵がどこにいるか知っている人はいる?」と喬妍は皆に尋ねた。
江伊涵は、欠席している学生のことだ。
「知らない」と皆が口々に答えた。
その時、教室の入り口で優しい女性の声が聞こえた。「すみません、喬先生、ちょっとよろしいでしょうか。」
その声に、皆は教室の外を見た。
清楚な印象の女子学生で、クラスのほとんどの人が知っていた。隣のクラス、放送学科2組の学生で、凌思雪という名前だった。
「凌さん、何かご用?」と喬妍は尋ねた。
「実は、お昼休みに江伊涵さんと外で食事をしていて、帰り道で彼女が転んでしまって、かなり怪我をしてしまったんです。私が病院に連れて行ったので、撮影に来られなくなってしまいました。ちょうど彼女の携帯の電池が切れていて、先生の電話番号も覚えていなかったので、私の携帯から連絡することもできず、私が戻って来てお伝えすることになりました。それと、江伊涵が撮影に来られないことをとても申し訳なく思っていて、もし可能であれば、私が代わりを務めさせていただきたいとのことです。」と凌思雪は言った。その目に一瞬、企みが成功した様な光が浮かんだが、それは顾宁の目に留まった。