第563章 臆病な老いぼれ

「そうでなくてよかった。もしそうだったら、あなたには全然チャンスがないから」潘子瑞は容赦なく馮鑫を見下して、まるで我が家の大将に相応しくないという態度を露骨に示した。

馮鑫はその言葉を聞いて、思わず口角が引きつった。彼は本当にこの顧お嬢様に興味があるわけではないのだが、見下されたことで自尊心が傷つき、不快に感じて尋ねた。「なぜだ？」

「私の大将は腕前が凄いだけでなく、美人で、そして最も重要なのは、まだ18歳の学生だからよ」潘子瑞は言った。つまり、我が家の大将はまだ若いが、馮鑫はもう30歳近いので、二人の年齢差が大きすぎて、あり得ないということだ。

これには、馮鑫は相手の年齢に驚かされた。

まだ18歳の学生で、こんなに凄いなんて。

「どうだ？私の大将は凄いだろう！」馮鑫の驚いた表情を見て、潘子瑞はさらに得意げになった。特にその誇らしげな様子は、まるで凄いのが自分であるかのようだった。

馮鑫以外の在席者は皆、顾宁のことを知っていたので、潘子瑞の言葉に少しも誇張を感じなかった。むしろ、顾宁の凄さはそれだけではないと思っていた！

「凄い、凄い」馮鑫は相槌を打ったが、お世辞ではなかった。この顧お嬢様は、確かに並の人ではない。

その時、海市郊外の三階建て別荘の二階書斎で、二人の中年男性がソファに座って話をしていた。

一人は唐德明で、もう一人は唐馨蕊の父親、唐煒雍だった。

前回の唐德明と唐煒雍の電話のやり取りからも分かるように、唐煒雍は唐家と恩讐があり、何度も唐雲帆を狙っていた。

今回のF空港路での唐雲帆の事件も、実は唐煒雍が仕組んだものだった。ただし、当時の状況では、これが陰謀だとは思わなかった。結局のところ、彼らは唐煒雍が密かに虎視眈々と狙っていることを知らなかったのだ。

唐家は強大とはいえ、全てのことを知って未然に防ぐことはできない。ただ事が起きた時に、迅速な手段で対処できるだけだ。

最も重要なのは、唐家の人々は皆、唐煒雍が死んだと思っていたことだ。

この事は18年前、唐雲帆が1年間の失踪から戻ってきた後にまで遡る。

前に話したように、唐雲帆の事件は、唐海峰の弟である唐海明の仕業だった。

そして唐煒雍は、まさに唐海明の息子だった。