冷少霆も少し不安だったが、顾宁を信じていた。それに、顾宁が決めたことは誰も止められないので、何も言わなかった。
「大丈夫、心配ないよ」と顾宁は言った。
「わかった!」顾宁が固執するので、唐雲帆も強く言えず、ただ注意を促すだけだった。「気をつけてね」
「うん、わかってる」と顾宁は答えた。
冷少霆たちが去った後、顾宁はその小頭目の車に乗り、唐海峰に電話をかけて無事を報告した。
顾蔓が無事だと知って、唐家の人々はようやく安心した。
「そうそう、唐おじさんが目を覚まして、お母さんを探しに行ったよ」と唐海峰は、唐雲帆と顾宁が一緒にいることを知らずに言った。
「もう会ったよ。今一緒にいるんだ」と顾宁は言った。
「それは良かった」と唐海峰はようやく安心して尋ねた。「お母さんを誘拐したのは誰なんだ?」
「今は話せないんだ。後で話すよ」と顾宁は言った。
「わかった」話しづらいなら、唐海峰はそれ以上聞かなかった。
二十分後、その小頭目は顾宁を倉庫に連れて行き、顾宁の指示通りに張永軍に電話をかけた。
とある別荘の二階の書斎で、中年の男が本を読んでいた。
その時、男の電話が鳴った。
着信を見ると、男は急いで電話に出て、意図的に声を低くして尋ねた。「どうだ?」
「張にいさん、母娘は捕まえました」向こうから男の声が聞こえた。その男は、顾宁と一緒にいた小頭目の洪奮だった。
「よし、すぐに行く」と張にいさんと呼ばれた男は言って、電話を切った。
電話を切った後、男はすぐには出発せず、別の携帯で電話をかけて尋ねた。「そっちの状況はどうだ?」
「各チームがまだ捜索中です」と相手は答えた。
「よし、二十分後に東郊倉庫區に来い」と男は言い、相手は了承して電話を切った。男は書斎を出て、地下室に降りた。
地下室には雑貨が山積みされていたが、雑貨の他に、一人の男が椅子に縛り付けられており、その男の傍らには二人の大柄な男が立っていた。
張にいさんは椅子に縛られた男を見つめ、その目は瞬時に凶悪な色を帯び、冷たく言った。「張永軍、今日こそ、お前の罪を償う日だ」
そう、この張にいさんは張永軍ではなく、椅子に縛られている男こそが張永軍だった。