彼と顾宁に付き合いがなければ、顾宁が彼にこの件を話さずに事を大きくしていたら、上層部は必ず調査に入っていただろう。
彼らは権力を持っているとはいえ、全ての権力者が彼らの味方というわけではなく、むしろ強敵も少なくなかった。
この件が蔣正華の利益にならなくても、部下が過ちを犯したのは事実で、彼も当然責任を追及されることになっただろう。
蔣正華はこの件を知り、重要視せざるを得なくなり、すぐに秘書に調査を命じた。
果たして、記録には康來寧製薬会社の薬品検査記録があり、不合格と記されていた。
秘書はすぐに薬品と化粧品の検査担当者を呼び、局長室へ向かった。
担当者は蔣正華が康來寧製薬会社の件に関与していることを知ると、恐れをなして直ちに白状した。
康來寧製薬会社の薬品と化粧品には何の問題もなく、オフィス主任に指示されてそうしたのだと。
そして、蔣正華はオフィス主任を呼び出し、検査担当者が白状したことを知ると、もはや隠しようがなく、すべてを話した。
彼は興和製薬会社の社長と同郷で仲が良く、相手が康來寧製薬会社の売上の良さを妬んで対抗しようと考え、彼に頼んでこうしたのだと。
しかし、この興和製薬会社の社長の妬みと嫌がらせのために、康來寧製薬会社が倒産に追い込まれたのは、本当に憎むべきことだった。
原因は分かったものの、直接的な証拠がないため、興和製薬会社を追及することはできなかったが、オフィス主任の責任は免れなかった。
康來寧製薬会社が陥れられたことが判明したため、当然ながら潔白を証明する必要があり、すぐに康來寧製薬会社の薬品検査合格証書が発行され、蔣正華も蔣仲宇に返答した。
蔣仲宇は蔣正華からの返答を受け取ると、すぐに顾宁に返信した。これら全ては1時間もかからなかった。
そして、顾宁はこの件を寧常凱に伝え、ついでに尋ねた:「あなたはこの興和製薬会社と何か恨みがあるのですか?」
相手は妬みが原因だとはいえ、顾宁はまだ他に恨みがないか知りたかった。
「ない」寧常凱は非常に確信を持って言った。彼はかなり真面目な人物で、めったに人と争うことはなかった。
興和製薬会社については、名前を聞いたことがある程度で、接触したことはなかった。