第602話 豚だと言われて、本当に馬鹿になった

「なんてこと！」

顾寧がどうなったのか見る前に、林夏は再び驚きの声を上げた。

「どうしたの？」蘇瞳諾は心配そうに尋ねた。

「自分で見て」林夏はあまりの衝撃に言葉が出なくなり、ただスマートフォンをテーブルに置くしかなかった。すると、みんなが即座に覗き込んだ。

それは顾寧と『翡翠美人ジュエリー』に関するニュースだった。投稿を見た顾寧は理解し、特に珍しいとは思わなかったが、他の人々は驚きを隠せず、顾寧を見る目つきが異様だった。

「社長、あなたは隠れた武林の達人なんですか？」

「社長、あなたは宇宙人なんですか？」

顾寧：······そんなに大げさかな？

まあ、一般人から見れば、確かにそれほど驚くべきことだったのだろう。

費南は複雑な心境だった。彼は3年間兵役に就き、常に鍛錬を続け、身体能力も悪くなかったが、顾寧に関するこれらのニュースを見て、自分と顾寧を比べると、まるで比べ物にならないことを認めざるを得なかった。

この若い女性は、ジュエリーショップのオーナーであるだけでなく、芸能界にも関わり、唐皇グループとも深い関係があり、並の人物ではないのだ。

次第に多くの人々が知るようになり、数時間のうちに蘇瞳諾の件はトレンド入りした。

トレンド入りを狙っても叶わない多くのセレブリティたちは、不満を表明し、密かに蘇瞳諾は抜け目がないと言った。たった1ヶ月の間に、蘇瞳諾は何度もトレンド入りしているのだから。

しかし、この件に関しては、より多くの人々が蘇瞳諾の味方をしていた。

おそらく前回の蘇瞳諾の反論事件で、彼女に対する印象が良くなったのだろう。一方、沈芮瑩の評判は、実のところあまり良くなかった。

もちろん、彼らは皆、蘇瞳諾が『唐皇エンターテインメント』の許可を得て、おそらく『唐皇エンターテインメント』と何らかの協力関係があるからこそ、撮影スタジオで撮影できたことを知っていた。しかし、彼女が本当に沈芮瑩のスタジオを横取りしたのかどうかは不明だった。

仮に横取りしたとしても、それは『唐皇エンターテインメント』の采配であり、蘇瞳諾には関係ないだろう！

そのため、蘇瞳諾は大部分が巻き添えを食らっただけだった。

もちろん、蘇瞳諾が沈芮瑩のスタジオを横取りしたと考え、蘇瞳諾は『唐皇エンターテインメント』の幹部と何かあるに違いないと確信する人々もいた。