第614章 蔣睿勤

「いいえ、タクシーで行きます」顾宁は断り、ちょうど空いているタクシーが来たので、手を挙げて止めた。

物事は自分の思い通りには進まなかったが、しつこく追求するのもよくないと思った。相手に不純な意図があると思われたら、元も子もない。

顾宁が車に乗って去っていくのを見届けてから、齊子越は自分の車に乗って帰った。

齊子越が別荘に戻ると、バスローブ姿の唐雅心がすぐに彼に絡みついてきて、不満げに言った。「私はもうお風呂も済ませたのに、あなたやっと帰ってきたの...」

唐雅心が彼に絡みつき、柔らかな体が彼に押し付けられ、思わず生唾を飲み込んでしまった。内なる情熱が燃え上がり、彼女をぎゅっと抱きしめて笑いかけた。「どうした?そんなに待ちきれなかったのか?」

「そうよ、一週間もあなたに会えなかったから、私、あなたが恋しくて...」唐雅心は切なげに言い、熱い眼差しで齊子越を見つめた。その瞳には特別な感情が満ちていた。

齊子越は彼女の顎を持ち上げ、激しくキスをした...

キスをしているうちに、事態は急展開を見せた...

パンパンパン...清らかな音が響く。

んん、あぁ...響き渡る声。

...

一方、顾宁は冷少霆の別荘に戻ると、まずシャワーを浴び、パジャマに着替えてから、玉眼の空間から箱を取り出して開けた。

箱を開けてみると、百年も湖底に沈んでいたにもかかわらず、中の物は水に浸かっていなかったことがわかった。

箱の表面に厚い蝋が塗られていたからだ。

骨董品を一通り確認した後、明日『祥雲軒』に出す予定のものを別の紫檀の箱に入れ、再び玉眼の空間に収めてから、お風呂に入って寝ることにした。

翌日早朝、顾宁は五時半に目が覚め、その後眠れなくなった。久しぶりにジョギングでもしようと思い、起き上がってスポーツウェアに着替えて外に出た。

冷少霆の住む別荘地区はとても広く、ほとんどが緑地で、景色は非常に美しかった。ここに住んでいるのは極めて裕福な人々ばかりだ。一寸の土地も金に値する京城では、不動産価格は極めて高く、百平方メートル程度のマンションでさえ数千万円もする。まして別荘となれば、数億円以下では手に入らない。

この住宅地は緑が豊かなだけでなく、セキュリティシステムも高度で、市の中心部に近い立地にある。どの別荘も最低でも数億円からの価格だ。