第632章 一目惚れ

「何か成果を見せてみなさいよ！」徐母は徐沁瀅に対して、とても無遠慮に軽蔑的な目を向けた。

徐沁瀅は言葉に詰まり、心が疲れて、もう話したくないと思った。

「ダーリン、来たわよ」

その時、高い声が聞こえ、古安娜が駆け寄ってきた。彼女の後ろには三人の若い女性と、花かごや盆栽を持った数人の男性たちが続いていた。その男性たちは花屋の人たちだった。

「徐おばさん」皆の前に来ると、古安娜は徐母に挨拶した。

「安娜も来たのね」徐母は優しく微笑んで言った。

「ええ！沁瀅からコウシのスキンケア製品が良いって聞いたから、私も見逃せないわ！友達も連れてきたの！」古安娜は言った。

その三人の女性たちは、男性たちを見た時に皆魅了され、心臓がドキドキした。古安娜の声を聞いて我に返り、すぐに挨拶をした。「徐ふじんこんにちは、徐さまこんにちは、皆さまこんにちは」

彼女たちは徐母と徐景琛しか知らなかったので、その二人にだけ名前を呼んで挨拶した。

この三人の女性のうち二人は一般的な裕福な家庭の出身で、一人は官家の出身だったが、身分は徐家には及ばないため、徐母と徐景琛の前では少し緊張していた。

「こんにちは」

冷少霆以外の全員が彼女たちに返事をした。

三人の女性のうち二人は、こっそりと徐景琛たちを見つめ、心の中で思いを巡らせ、自分の振る舞いに気をつけていた。もし徐景琛や邢北に気に入ってもらえたらいいのに、と。

なぜ冷少霆は含まれていないのか！

確かに彼が一番見た目が良かったが、彼の隣には女性が立っているし、女性用のバッグも持っている。これは明らかにカップルではないか？

相手に彼女がいると知っていながら狙うなんて、それは自分を貶めることではないか？

彼女たちはイケメンが好きで、優秀な男性に気に入ってもらいたいと思っているが、それは品性を欠いた行動をするという意味ではない！

彼女たちは邢北を知らなかったが、徐景琛と一緒にいる人なら、きっと並の人物ではないだろうと考えていた。

たとえ普通の人だとしても、女性が男性を見る時、最初に見るのは外見だ。好きになってしまえば、自然とその人の条件など気にならなくなるものだ。

ただ、彼女たちはそのカップルの中の女性がどこかで見覚えがあるような気がしたが、どこで見たのか思い出せなかった。