第691章 まさに救いようがない

顾寧は少し考えて、せいぜい時々透視を使って顾蔓が出てきたかどうか確認すればいいと思い、うなずいて同意した。

顾寧の同意を得た冷少霆は当然喜びを隠せず、急いで鍵を取り出して車のドアを開けた。

車内は狭いスペースで、自由に動くことはできないが、それなりの楽しみがあった。

二人が車に乗り込むと、冷少霆は顾寧を抱きしめ、彼の膝の上に座らせた。向かい合って見つめ合う二人は、灯りがなくても互いの表情や眼差しをはっきりと見ることができた。

顾寧は目の前の凛々しくハンサムな男性を見つめた。整った深い目鼻立ち、通った鼻筋、美しい薄い唇、とても魅力的だった。

初めて彼に会った時から魅了されていた。いや、彼を見るたびに魅了されるのだった。

「どうした?俺に魅了されたか?」男性は唇の端を上げ、普段は氷山のような彼が笑うと、言葉では表現できない魅力があった。

冷少霆はめったに笑わない。笑わない時でさえ顾寧を魅了していたのに、笑顔を見せられると更に夢中になってしまう。

「そうよ!あなたに魅了されたわ」顾寧は恥ずかしがることもなく、素直に認めた。

顾寧の言葉は冷少霆の神経を刺激し、血液が急上昇し、喉が締め付けられ、そして······

世界にとってあなたは一人の人間だが、誰かにとってあなたは彼の全世界である······彼女の目に、心に彼しかいない、彼の目に、心に、彼女しかいない······

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林麗娟は林家を出た後、目的もなくさまよい歩いていた。

林麗娟は携帯電話も持っておらず、お金もなく、どこにいるのかも分からなかったが、それでも歩き続けていた······

夜も更けてきたのに林麗娟が帰ってこないので、林德昌は多少心配になった。最初は放っておくと言ったものの、結局林麗娟に電話をかけた。

しかし、携帯電話は家の中で鳴っていた。

「携帯も持たず、お金も持っていないなんて、何か問題が起きないかしら!」張美玉も心配し始めた。もし何か起きたら、どうすればいいのかと。

彼らの間に確かに対立はあったが、深い恨みがあるわけではない。結局は家族なのだから、誰も事態が悪化することを望んでいない。

林德昌は少し考えて、「越豪、探しに行ってくれ」と命じた。

林越豪は気が進まなかったが、それでも出かけていった。