第703話 Kの物語

もし唐德明が利用したり取引したり、あるいは協力案件の協力企業を主導して取締役選挙に影響を与えようとするなら、きっと自信があるはずだ。唐德明はおそらく付開餘、程中盛、吳柏岩を味方につけることに成功したのだろう!

もしそうなら、彼らの勝算は確かに高い。唐雲帆と唐雲蓉の株式は彼らより多いものの、ビジネスの才能も能力も全くないのだから。

企業グループのリーダーは必ずしも最大の株主である必要はない。最も重要なのは最も能力のある人物だ。株式を多く持っていても能力のない人物が指揮を執れば、その企業グループは発展を諦めているようなものだ。

もちろん、彼らの勝算が高いのは客観的な要因からの判断だ。本当に成功するためには、唐雲帆と唐海峰が本当に事故に遭うことが前提となる。そうでなければ、すべては無駄になる。

どちらにせよ、明日の会議で分かるだろう。

しばらくして、時間も来たので、顾寧と冷少霆は帰ることにした。

車に乗るなり、顾寧はKから電話を受けた。

「社長!この唐德明に関して怪しい点は何も見つかりませんでした」とKは言った。

顾寧はそれを聞いても特に驚かなかった。唐雲帆が言っていたように、唐德明は野心があっても、これまで何も行動を起こす勇気がなく、最近になってようやく動き出したのだから。だからこそ、背後に誰かがいると100%確信できたのだ。

明らかに、彼と背後にいる人物との連絡も極めて秘密裏に行われているため、追跡できなかったのだろう。

あるいは、背後にいる人物が表面上は怪しい点がないため、誰も気付かなかったのかもしれない。

「見つからなければそれでいい」と顾寧は気にせず言い、突然こう付け加えた。「そういえば、今日50歳くらいの男性に会ったんだけど、あなたに少し似ていて、しかも同じ姓だった」

実は何故かは分からないが、顾寧は思わずそう口にしてしまった。わざと事を荒立てようとしたわけではなく、ただKと牧旭興を結びつけずにはいられなかったのだ。

Kはその言葉を聞いて一瞬固まり、すぐに頭の中である人物の姿が浮かんだ。

おそらく、誰なのか分かっていたのだろう。しかし、その人物のことを思い出すと、ただ憎しみが湧いてくるだけだった。