「翡翠美人ジュエリー」では、相変わらず客足が途切れることはなかった。昨日ほどの売り上げではなかったものの、同業他社と比べれば、はるかに上回っていた。
そのため、多くの同業者が羨ましがっていたが、何もできなかった。結局のところ、彼らの後ろ盾は唐家なのだから!
「翡翠美人ジュエリー」は海市で開業し、京城でも準備を始められる。しかし顾寧は考えた末、京城には加工工場を設置した方が良いと思った。なぜなら、ジュエリーショップが拡大すれば、G市の工場だけでは需要を満たせないからだ。
そこで、顾寧は陳倉翼に電話をかけた。
「陳にいさん、今、加工工場が必要なんです。『翡翠美人ジュエリー』の宝石加工用です。最大規模のものを探してもらえませんか?見つかったら教えてください。その後は『翡翠美人ジュエリー』の責任者に他の手配を任せます」と顾寧は言った。
周正宏はこちらの仕事が終わったら、京城の方へ向かう予定だった。京城の店舗のオープンは来週のことで、今回の宝石の輸送は高熠が担当することになっていた。
「承知しました、社長」と陳倉翼は答えた。「そういえば、社長、私たちの本社の裏に民家が何軒かありますよね?敷地面積は七、八百平方メートルほどです。昨日、不動産業者が買収に来ていました。オフィスビルを建てたいそうですが、提示価格が低すぎて話がまとまりませんでした。ところで、社長はその土地に興味はありませんか?」
陳倉翼は顾寧が必要とするかどうか分からなかった。会社が今後どれほど大きくなるのか見当がつかなかったため、現状で問題ないと考え、昨日発見した時点では報告しなかったのだ。
今、彼女から電話があったので、ついでに話してみることにした。
顾寧はそれを聞いて目を輝かせ、喜びを隠せない様子で即座に指示を出した。「陳にいさん、私のために確保してください。資金は妥当な範囲であれば、いくらでも構いません」
京城では、七、八百平方メートルの土地なら少なくとも一億は下らないことを顾寧は知っていた。それでも惜しくはなかった。ただ、カモにされて法外な値段を吹っかけられるのは避けたかった。
もともと顾寧は現在の本社の面積が小さいと感じていた。今は十分だが、会社が大きくなれば足りなくなり、場所を変える必要が出てくる。
本社の裏の土地が手に入れば、これ以上ないほど良かった。