035 歓迎会

身分証を無くしたことは、今まさに生活に困窮し、焦って仕事を探している雲詩詩にとって、まさに火に油を注ぐようなものだった。

  身分証を無くした翌日に早速再発行の手続きに行ったが、あの警察官たちは本当に怠慢すぎて、何度も先延ばしにし、彼女のことを全く気にかけていないかのように、いい加減な言い訳ばかりしていた。

  仮の証明書を発行してから2週間以上経っても再発行が済まず、彼女は警察署で怒りが爆発しそうになった。

  いくつかの会社で面接を試みたが、全て身分証がないことを理由に求職を断られた。

  確かに彼女は雲おとうさんにこのことを話さなかったが、雲おとうさんは何処からか彼女が会社をクビになったことを知ったようだ。しかし、その理由は分からず、何も言わずに生活費を渡しただけだった。

  彼女が最近帰国した親友の肖雪がこの件を知り、気前よく彼女にお金を貸してくれた。これは目の前の困難を乗り越えるための助けとなった。

  肖雪は彼女が高校時代に知り合った親友兼親友で、骨の髄まで仲が良く、姉妹のように親しかった。

  当時、雲詩詩が妊娠して子供を産んだという噂が学校中に広まり、みんな彼女が社長に囲われているのではないかと疑っていたが、肖雪だけが躊躇なく彼女を守った。

  元々一緒に留学する約束をしていたのに、雲詩詩は家庭の事情で行けなくなり、肖雪はその時本当に彼女のことを恨んで、しばらく口を利かなかった。

  最後にようやく誤解が解けた。

  今、肖雪が帰国し、雲詩詩は佑佑を連れて彼女の歓迎会に参加した。

  会うなり、肖雪は涙を浮かべ、彼女を強く抱きしめた。

  3年ぶりの再会で、思いと感動で雲詩詩も思わず目頭が熱くなり、感慨深かった。

  肖雪が彼女の約束破りについて責めようとしたその時、ふと横目で彼女の傍らに立っている佑佑に気づいた。

  瞬間、肖雪の目は銅鑼のように大きく見開かれ、呆然としてしばらく瞬きを繰り返し、この可愛い坊やに驚かされた。

  普段から様々な経験をしているはずなのに、それでも佑佑の美しく幼い顔立ちに一目で魅了されてしまった!