035 歓迎会

身分証を無くしたことは、今まさに生活に困窮し、焦って仕事を探している雲詩詩にとって、まさに火に油を注ぐようなものだった。

  身分証を無くした翌日に早速再発行の手続きに行ったが、あの警察官たちは本当に怠慢すぎて、何度も先延ばしにし、彼女のことを全く気にかけていないかのように、いい加減な言い訳ばかりしていた。

  仮の証明書を発行してから2週間以上経っても再発行が済まず、彼女は警察署で怒りが爆発しそうになった。

  いくつかの会社で面接を試みたが、全て身分証がないことを理由に求職を断られた。

  確かに彼女は雲おとうさんにこのことを話さなかったが、雲おとうさんは何処からか彼女が会社をクビになったことを知ったようだ。しかし、その理由は分からず、何も言わずに生活費を渡しただけだった。