037 女優オーディション

「環宇エンターテインメントを知らないなんて言わないでよ！環宇エンターテインメントの後ろ盾は帝昇財團なのよ！それはアジア全体、いや世界中でもトップ100に入る商業帝国なのよ！」

帝昇財團の話になると、肖雪の目は憧れの色を帯びた。「帝昇財團の地位は金融の中核的な支配者と言えるわ！考えてみてよ、今の金融危機の中で、多くの大企業が倒産しているのに、帝昇財團だけは微動だにせず影響を受けていないのよ！それに、帝昇財團の社長はとてもチャーミングな人物なの！若くて、家柄も良くて、国家並みの富を持っていて、多くのセレブが群がる対象なのよ！帝昇のような強力な後ろ盾があるから、環宇エンターテインメントは芸能界でトップの地位を占めているのよ！」

テレビでちらりと見かけた帝昇の社長の話になると、肖雪はたちまち話が止まらなくなり、雲詩詩の前で彼の先祖代々のことまでゴシップを語りたいような勢いだった。

しかし雲詩詩はそういったことにはあまり興味がなく、やむを得ず彼女の話を遮った。「なんでそんなに大げさに言うの？そんなにすごいわけ？」

「あなた、世間知らずすぎるわよ！京城全體の人が帝昇財團の名声を知っているのよ。この街の市長の名前を知らなくてもいいけど、帝昇を知らないなんてありえないでしょ？」

肖雪は神秘的に言った。「噂によると、国の重要な政府高官でさえ、帝昇に対して一目置いているそうよ！」

肖雪は一呼吸置いて、顔に敬愛の色を浮かべた。「正直言って、私の知る限り、この帝昇の社長の資産は今でも計り知れないわ。誰も彼の資産が数百億なのか、数千億なのかわからないの。このカリスマ的な人物はメディアの前でとても神秘的で、その振る舞いも非常に謎めいているわ…」

「話が逸れてきたんじゃない？」雲詩詩はクールにコーヒーを一口すすった。

肖雪は呆れた顔をした。「詩詩、昔の夢、本当に諦めちゃったの？」

「演技は、確かに私の夢だった。」雲詩詩は少し困ったように目を伏せた。「でも…」

以前、ある映画が学校でヒロインのオーディションを行った時、彼女の指導教官が彼女を推薦してくれた。それはとても良いチャンスだったのに、彼女はそれを掴めなかった。

その映画は後に全国で大ヒットし、出演者全員がスターになった。