057 まさかの秘書

ソファーに背筋をピンと伸ばした姿が座っているのが見えた。ビシッとしたスーツを着て、礼儀正しい振る舞いで、髪を結い上げていて、女性のようだった。

　　先ほどまで彼女はあまりにもショックを受けていたため、この部屋にもう一人人がいることに気づかなかったのだ。

　　彼女は目を細めて、その人の姿をはっきり見ようとしたが、部屋があまりにも暗くて、その顔ははっきりとは見えなかった。

　　しかし、その声には見覚えがあるような気がしたが、はっきりとは思い出せず、しばらくショックを受けたままだった。

　　「あなたは...」

　　その人は彼女が目を覚ましたのを見て、ゆっくりと立ち上がり、窓のところまで歩いていって、手を伸ばしてカーテンを開けた。

　　日光が差し込むと、女性は礼儀正しく振り返り、雲詩詩はようやく彼女の顔をはっきりと見ることができた。

　　とても見覚えがある、本当に見覚えがある、彼女は絶対にこの女性に会ったことがあるはずだが、すぐには思い出せなかった...

　　李しょきは、まだ混乱した状態にいる彼女を見て、その探るような視線も気にせず、テーブルから白湯と小さな錠剤を取り、丁寧に差し出した。「雲さん、お薬をお飲みください。」

　　昨晩の出来事を経験した雲詩詩は、見知らぬ人が差し出すものに警戒心を持ち、じっと彼女を見つめたまま、手を伸ばして受け取ろうとはしなかった。

　　李しょきは彼女の心配を理解しているようで、軽く微笑んで言った。「ご心配なく！これは事後避妊薬です。雲さんもきっと、そういった面での心配事は避けたいでしょう。どうぞ、お飲みください。」

　　雲詩詩はようやく薬を受け取り、白湯で飲み込んだ。

　　薬が喉を通って腹に入ると、彼女は緊張のあまり唇まで震えていた。

　　李しょきは再び手際よく新しい服を持ってきて、下着まで新しいものを用意していた。

　　サイズは全て、大きすぎず小さすぎず、ちょうど良かった。

　　雲詩詩はそれを見て、頬を赤らめ、下着を握りしめて少し落ち着かない様子で彼女を見つめた。相手はそれを察して部屋を出て行き、ようやく彼女は着替え始めた。