103 得難い人材

「尹夏純、これこそが私の探していた尹夏純だ!」

まるで本から飛び出してきたかのように、そっくりだった。林鳳天は驚喜するとともに、少し疑問に思った。この女の子は本当に専門的な教育を受けていないのだろうか?

いきなり役に入り込み、最高の状態で自分の演技力を証明する。この女の子はなかなか賢いな、めったに出会えない演技の天才だ!

実際、青春映画では演技力にこだわる必要はない。どれほど激しく泣いても、味気なければ観客も面白くないと感じる。青春について、多くは青春時代への懐かしさや若かりし頃の美しい思い出への愛着だ。

そして青春映画とは、美しい物語で観客の心の奥底に秘められた記憶を深く掘り起こすものなのだ。

青春の美しさを表現し、ちょうど良い感動を与えることこそが、青春系映画の真髄なのだ!

この女の子は全ての人の目を輝かせた!

顧星澤は拍手の中で思わず前に進み出た。まるで劇中の美しいシーンのように、尹冬宇がステージに上がり、拍手と喝采を受ける尹夏純を抱きしめたのだ!

「素晴らしい!見事だ、見事の一言だ。印象深い演技だった!」林鳳天は興奮して拍手し、他のプロデューサーたちも認めるように頷いた。

林鳳天だけでなく、全ての人が午前中の泣きシーンの連続に疲れ果てた後、雲詩詩の演技は春風に当たるようだった。

「なんてこった、美しすぎる……突然、初恋を思い出してしまった……」あるアシスタント監督が感動して、目尻が少し湿っていた。

さすがの林鳳天も大いに驚いた。最初にこの女の子を気に入ったのは、ただ目に留まったからで、二つ目は彼女の容姿が抜群で、ちょうどこの脚本の主人公の雰囲気に合っていたからだ。しかし今日会ってみると、実力派だったとは!

しかし彼女は専門的な教育を受けていないはずだ。理系出身の学生なのに、なぜこんなに驚くべき演技ができるのか?

これは天賦とは全く関係ない。確かに驚くべき演劇の才能を持つ俳優もいるが、この女の子は違う。ステージに上がった瞬間から演技モードに入り、プロフェッショナルな素養、堅固な演技力、さらには完璧な立ち回りまで、芸能界で10年以上も経験を積んだ者だけが演じられるような生き生きとした役柄だった!

どうあれ、彼、林鳳天はまた一つの宝物を掘り当てたのだ!