106 何凌相

「顏冰清？あのレッドカーペット女優？彼女はただの器量良しで、演じる役はいつも聖女か天然ボケよ。一年中まともな作品なんて一つもないじゃない？映画祭でレッドカーペットを歩いて色仕掛けするくらいで、顔以外に演技も才能も何もないわ！」

　顏冰清、スキャンダルを利用して成功した一流女優で、現在その知名度と人気は絶頂にある。

　彼女は手腕があり、バックグラウンドもあって、複数のスポンサーがついている、手ごわい人物だ。

　10年前、16歳の顏冰清は宮廷ドラマの脇役を演じた。脇役とはいえ、かなりの出番があった。

　その年、この宮廷ドラマは全国で大ヒットし、主要キャストは一躍有名になり、ギャラも急上昇した。

　しかし彼女は、主役たちほどの人気は得られず、次第に埋もれていった。

　その後、彼女は謎のスポンサーと結びつき、このスポンサーが彼女のためにPRチームを見つけ、スキャンダルを利用して彼女を話題の女王に仕立て上げた。

　しかし、バックグラウンドがあり、後ろ盾があり、リソースがあるにもかかわらず、この顏冰清はまさに器量良しで、演技力は皆無だった。

　今でも彼女の作品と言えば、10年前の宮廷ドラマの小間使いの役だけだ。

　去年、宮廷闘争ドラマで主演を務めたが、一代の風流な女帝を、聖女のように演じてしまった。

　こんな演技では、林鳳天は到底認められなかった。

「以前、嚴社長は韓姓の新人モデルを推したがっていたな！化粧が派手すぎて、整形しすぎて顔の特徴もない。ふん！投資家たちは私の映画を何だと思っているんだ？好きな者を起用できると思っているのか？」

　莫祺は冷や汗をかきながらも、厚かましく説得を続けた。

　少し離れたところで、肖雪は首をかしげた。「詩詩、彼らは何を話しているの？林監督が怒っているみたい」

　「分からないわ」雲詩詩は言いながら、目の端に見覚えのある姿を捉えた。よく見ると、驚いてしまった。

　何凌相だ。

　何凌相の名前は業界では誰もが知るところだ。有名なのは傑作が多いからではなく、乱れた私生活で悪名高いからだ。

　噂では、彼の背景は非常に強力で、この男は手腕があり、非常に冷酷だという。