この女は、彼一人の男しか経験がない?
心の中で意外にも驚きを感じた。
彼は、彼女が結婚していて、男性経験もあるだろうと思っていた。
そこで、少し悪質な遊び心を抱きながら、男は手で彼女の頬を軽くつねってみた。驚くほど滑らかで、柔らかく、まるで一切の世俗に染まっていないかのようだった。
「ほら、教えてあげる」
彼は彼女の手を取り、自分の襟元へと導いた。長い指で彼女の指を正し、自分のネクタイに掛けさせ、細かく指示した。「これを解いて」
彼女を解いて……
雲詩詩は虚ろな目をして、まるで魂のない人形のように、魔に取り憑かれたかのように、彼の美しいネクタイを掴んだ。
「解いて」
雲詩詩は深く冷たい息を吸い込み、唾を飲み込みながら、両手を彼の胸に当て、ゆっくりと彼のシャツのボタンを外し始めた。動きは遅く、ぎこちなかった。
彼女の動きは極めて遅く、慕雅哲は不満そうに彼女の唇を軽く噛んだ。まるで彼女の遅い動きを罰しているかのようだった。
雲詩詩は頭を下げたまま、顔を真っ赤にして、玉のような指で一つずつ彼のボタンを外していった。
彼の服は全てオーダーメイドで、細部まで凝っており、一つ一つのボタンがしっかりとしていて、本当に解くのが難しかった。
徐々に、彼女は頬を熱くして唇を噛んだ。目を上げると、男の目に隠しようのない炎が燃えているのが見えた。
「あなた――」
言葉が終わる前に、慕雅哲は彼女の手首を掴み、一気に自分の胸に引き寄せた。
長い指で彼女の顎を持ち上げ、彼は目を伏せて彼女の唇を奪い、深く味わった。彼女の軽く開いた唇の隙間に舌を滑り込ませ、甘美な香りと共に踊るように絡め合った。
赤ワインの芳醇な香りが唇と歯の間に広がった。
彼女の心臓は突然早鐘を打ち、頬に怪しげな紅潮が浮かんだ。
慕雅哲は片手で体を支えて半座りの状態で、もう一方の手で彼女の腰を強引に抱き寄せた。
彼は少し体を起こし、ソファに寄りかかりながら、彼女を自分の膝の上に座らせた。片手で彼女の腰を抑え、右手で彼女の首筋をしっかりと掴み、さらにこのキスを深めた。