173 思わぬ遭遇（スポンサー特別章）

あの楊壽程は本当に背景のある大物だったんだ。ネットで広まっているゴシップは嘘じゃなかったようだ。

　　楊壽程の冷たい言葉を思い出すほど、雲娜の心は凍りつくようだった！

　　部屋から飛び出した雲娜は、身につけた服を整える間もなく、楊芈と韓語嫣一行、そして遅れてやってきた陸景甜と鉢合わせてしまった。

　　今夜は環宇エンターテインメントの年次パーティーだ。彼女の父は環宇エンターテインメントの大株主の一人だったので、彼女が欠席するはずがなかった。

　　しかし、会場に着いたばかりで、心に思い描いていた人を見かけなかったので、彼女は落胆し、楊芈たちと休憩室で一息つくことにした。

　　しかし、エレベーターホールで、大勢の人々と雲娜が思いがけなく出くわし、正面衝突してしまった。

　　雲娜は少し戸惑って立ち尽くした。本来は静かにここを離れようと思っていたのに、彼らに見つかってしまい、一瞬恥ずかしさで居場所がなくなった。

　　今の彼女は身なりが乱れており、特に服の外に露出している部分には、あいまいな痕跡が残っていた。

　　元々きれいに化粧していた顔は疲れ果てており、今まさに最も惨めな姿で、皆の目にさらされ、極限まで恥ずかしい思いをした。

　　楊芈はまず軽蔑的に彼女を一瞥し、続いて冷ややかに鼻を鳴らし、目に軽蔑の色を浮かべた。

　　側に立っていた李久賢も思わず眉をひそめた。

　　唐羽は舌打ちして言った。「下品な奴め、恥さらしだ！」

　　陸景甜はさらに嫌悪感を顔全体に表し、嘲笑って言った。「どこから来た狂女だ？」

　　「景甜、あなたは知らないのね。この女性は泥棒よ。他人のドレスを盗んで紛れ込もうとして、宴會場に入ろうとしたのよ。出世したくて、星澤に見破られたから、きっと大物の寝床に上がって、見られたくない手段を使ったんでしょうね！」

　　雲娜はこれを聞いて、恥ずかしさと怒りで唇を噛みしめ、可哀想そうな様子を見せた。事情を知らない人が見たら、きっと同情してしまうだろう。

　　しかし、皆は彼女の本性を知っているので、もちろんこの手には乗らなかった。

　　元々彼女のことを気遣っていた李久賢さえも嫌悪感を露わにし、まるで空中で蠅を飲み込んだかのような表情をした。