177 本当に汚い

陸景甜も心臓が一瞬止まりそうになったが、それでも彼の体に「罪の証拠」を探そうと、目は執着的に探し続けていた。

　　彼女はどうしても、慕雅哲が雲娜のような女性と関係があるなんて信じたくなかった！

　　彼女の視線が突然、彼の鎖骨あたりで止まった。

　　そこに、曖昧なキスマークがあった。

　　キスマークというよりは、噛み跡といった方がいいかもしれない。

　　薄い歯型が、はっきりと残っていた。

　　その跡を見ると、明らかに最近つけられたものだった。

　　陸景甜は雷に打たれたかのように、その場で硬直した。

　　心臓を刺すような痛みが、胸の奥に広がっていった。

　　彼女は再び雲娜を見た。彼女の体に隠しきれない曖昧なキスマークを見て、胸いっぱいの悔しさと恥ずかしさで、もう我慢できなかった！

　　慕にいさん……今まで女性に触れられるのを嫌がっていて、彼女とさえ肌を触れ合うことはなかったのに、この女は……この女は何様のつもりだ！

　　「なんてこった……」

　　「本当に慕社長なの？この淫売女と関係を持ったなんて……」

　　「シーッ！黙って、慕奥様がいるのが見えないの？慕若様もいるわよ、気をつけなさい……」

　　「何が慕奥様よ、婚約しただけで、名ばかりの婚約者じゃない！」

　　「余計なことを、陸景甜も慕さまのことが好きだってこと知らないの？！」

　　人々は即座に私語を交わし始めた。声を極力抑えていたものの、それでも雲娜の耳に入ってきた。

　　彼女は一瞬ビクッとして、信じられないという表情で目を見開いた。

　　なんだ、このバカな女たちは彼女と慕社長に関係があると勘違いしているのか？

　　もし慕雅哲の力を借りられるなら、何凌相なんて何だというの？楊壽程だって何だというの？ましてや李久賢なんてものの数じゃない！

　　慕雅哲はきっとこのことについて大衆に説明したりしないだろう？

　　そうすれば、彼女にとってはチャンスになる！

　　そう考えると、雲娜は思わず背筋を伸ばし、さりげなく李久賢の腕から徐々に離れ、彼の抱擁から抜け出した。