190 知能指数の上限

この子ったら、実の母親のことを――きれいなおねえさんって呼ぶの?

  いつも冷静沈着な雲天佑も、思わず口角をピクリと動かし、風に吹かれてフラフラになってしまった。

  じゃあ――この論理でいくと、このちびっ子ちゃんは彼のことをなんて呼ぶんだ?

  頭の中で、奕辰くんが目の前に立って、恥ずかしそうに甘えた声で彼に向かって叫ぶ姿が浮かんだ――

  「おじさん――」

  雲天佑は強烈な衝撃を受け、心の中も外も青ざめた。

  この兄貴はなんてバカなんだ、本当に嫌になる。

  奕辰くんを嫌うよりも、雲天佑は慕雅哲をもっと嫌っていた……

  同じ遺伝子なのに、どうしてこの兄貴は知能が心配なレベルなんだ。

  ある意味で、雲天佑は四人家族の中で最高の知能を持つ大黒柱と言えるかもしれない、平均値を引き上げているんだ。