259 完全に縁を切る

李琴は笑って言った。「詩詩、この方はどうお呼びすればいいの？座るようにお声かけしないの？」

　　慕雅哲は無表情で李琴の一挙手一投足を見ていたが、何の動きも見せなかった。

　　彼はそのお金があると言ったが、出すとは言っていない！

　　李琴は少し恥ずかしそうな様子で、仕方なく雲詩詩に目を向けた。「詩詩、まだこの方のお名前を聞いていないわ！」

　　「慕……慕社長！」

　　病床で、雲娜が恐る恐る口を開き、緊張した表情を浮かべた。

　　李琴は驚いた様子で尋ねた。「娜娜、あなた知っているの？」

　　「うん……お母さん、彼は帝昇財團の社長、慕社長よ」

　　この肩書きを聞いて、李琴の顔が青ざめた。

　　慕……慕氏財團の社長、慕雅哲？

　　慕家は誰もが知る、京城随一の名家だ。

　　なんてこった、この男が慕氏の社長だったなんて！？